
みなさんこんにちは。
高収益、多収穫のみかんづくりの2回目です。
前回までを読まれていない方は、こちらを読んでくださいね。
高品質多収穫のみかん作り12カ月:経営目標
http://staff.sunbiotic.com/12-1.html
高品質多収穫のみかん作り12か月:3ー4月の作業
http://staff.sunbiotic.com/12.html
さて、みなさんの畑ではみかんの花が咲いているころでしょうか?みかんの花は、甘くていい香り。すごく癒される時期ですよね。
今年の開花初めの日にち、花の大きさと量、新芽の出方など、ぜひ日記に記録しておくといいですね。これがまた来年の対策になります。
では、早速ですが高品質、多収穫のみかん作り5-6月のポイントを考えてみましょう。
ポイント1.5ー6月は常に発根を意識した栽培管理を!
1.菌力アップ+糖力アップの潅水を継続
2.樹勢を助ける葉面散布でプラスα
5月上旬、みかんの花が一斉に開花します。このとき、みかんの樹は、まだ根の活性が弱く、土壌からの栄養補給は少ない状況です。花が多い時、開花するエネルギーは相当なものですが、そのほとんどを去年の貯蔵養分を使いながらやっています。
さらに、新芽が徐々に大きく生長していく時期でもありますが、まだほとんど光合成能力のない新芽に、エネルギーを送りこんで細胞を作り、生長させなければなりません。
そうです。みかんの樹は、蓄えた力を振り絞って、葉も花も、さらには根を育てなければならないので、とても疲れてしまう時期なんですね。
生理落果の原因を少し解説しましょう。
基本的には1次生理落果は、チッソの不足。貯蔵チッソが不足していたり、新葉と果実との間でチッソの競合が起こり、一次生理落果が起こります。だから、新芽が多すぎるとき、新芽を摘んでやると、実どまりがよくなったりします。この時期には、葉面散布や液肥潅水でチッソを与えると良いわけです。
そして、2次生理落果は、糖の不足。乾燥や日照不足によって、光合成が低下すると、糖分が不足し、果実にエネルギーを供給できなくなります。そのため、生理落果が起こります。
ですから、この時期は、ブドウ糖や木酢液などの潅水で、糖に代わる物質を供給すると、実どまりが良くなります。また、チッソの供給も、アミノ酸態チッソをやる事がとても大切です。化成の硝酸態チッソを与えると、樹体内の糖分を消費してしまい、生理落果を助長する場合があります。
また、この時期に最も重要なのは、いかに根を動かすか、と言うことです。
前回お話ししましたように、みかんの発根時期はこの春先の時期以外にないわけですが、この時期に水分や栄養、日照が不足すると、根が思うように伸びません。
発根不足が、のちのちの品質不良と隔年結果につながっていくんですね。
上記の問題点を総合して考えると、発根促進をしながらアミノ酸態チッソと糖分をどんどん供給してやることが大切、ということになります。
ですから、10a当たり菌力アップ5L+糖力アップ5kgの潅水をぜひ実施してほしいですね。
特に10日以上雨が降らないときや、逆に日照不足の場合は特に重要な作業です。日照不足の場合には、純正木酢液1Lを混ぜてやるとさらによいでしょう。月に4回以上が目標です。
さらにプラスαを目指す場合は、ぜひ葉面散布を行いましょう。
これは、農薬散布の時に混ぜて(ボルドーは混合できません)、散布するといいですね。
ポイント2.6月上旬の夏肥が品質と連年結果を決めます!
6月上旬になると、夏肥の散布を考えます。
夏肥については、いろいろなやり方がありますね。一般に農協の栽培暦をみると、夏肥を年間の20ー30%と、少なめに設定している地区が多いようです。人によっては、夏肥はやらない!という方もいらっしゃいますね。
しかし、サンビオティックでは夏肥の積極投与でみかん栽培を考えます。
夏肥は、やり過ぎると品質を悪くすると言われます。これは、いわゆる栄養生長に傾いてしまうためです。
しかし、みかんの樹は、6月以降の暑い時期にこそ旺盛に肥料を吸収し、光合成を行う大切な時期です。この時期に、チッソが足りないと、せっかくの光合成の能力も半分になり、それが翌年の花芽の減少など隔年結果につながる元となるんですね。
ですから、連年結果を考えると、夏肥をしっかりと与える方向で考えるべきです。
ポイントは、夏肥をしっかりとやりながらも、生殖生長にスムーズに移していくことです。チッソ量で、年間チッソの極早生20%、早生40%、晩生50%を目標にします。そうすることで、果実品質を落とさずに、むしろ光合成が最大に高まることで、果実品質を上げることができるんですね。
(夏肥の標準施用量)6月上旬
極早生 有機百倍2袋 鈴成5袋
早生 有機百倍4袋 鈴成5袋
中生・晩生 有機百倍5袋 鈴成5袋
※着果が少ない、樹が小さい場合は、これより減らす。
そして、生殖生長にスムーズに移行するための考え方。
・有機チッソ(アミノ酸態チッソ)を主体とした肥料を使用すること。
有機百倍や、自家製のぼかし肥料など、アミノ酸態チッソを豊富に含んだものをしようしましょう。化成肥料を使用する場合は、量を控え、その代わりに糖力アップをやるなどの工夫が必要です。
早期摘果は、果実肥大を促進しますが、着果負担が減ってしまうため、夏肥主体の考え方と合いません。夏肥をしっかりやりながら、摘果は遅く、十分にストレスをかけながら栽培します。モデル園では、8月までほぼ無摘果でストレスを掛けます。それでも、しっかりと光合成能力の高まった園では、LMサイズまで肥大しますから大丈夫です。(マルチ被覆で乾燥をかける圃場では、後半の肥大が悪くなる傾向があります。この場合は、夏肥を10%程度減らし、早めの摘果を組み合わせていきます。)
・鈴成、およびコーソゴールドで生殖生長を促進すること。
鈴成やコーソゴールドの散布をすることで、生殖生長を促進できます。春に鈴成をやらなかった圃場では、6月にプラスして、8月にも鈴成を与えます。
コーソゴールドは、栽培中のどのステージでも使用できます。農薬散布など葉面散布ができるときは、ぜひコーソゴールドをやります。早い段階からコーソゴールドを散布することで、生殖生長を促進することができます。生殖生長を促進するために純正木酢液を混合すると、さらに良いですね。
・剪定は5ー6月に、間引くだけの弱剪定。
剪定は、樹が込み合わないように、風通しを良くする程度にできるだけ弱剪定で行います。葉や幹には、大切な貯蔵養分が蓄えられていますから、これを落とすとせっかく肥料をやっても、吸収した分捨ててしまっているようなものです。
とくに、切返し剪定(枝の中間切り)は、特別な場合でなければ推奨しません。切返しを行うと、栄養生長のホルモンが出てしまい、樹の生理を狂わせてしまいます。ですから、間引き剪定、つまり枝の出た根元から切る剪定を行います。主に多くの品種で、切り上げ剪定を行った方が、連年結果になりやすくなります。
どうでしたか?すこし話が多すぎましたね?
でも、大丈夫。結局、菌力アップや糖力アップ、コーソゴールドをしっかり活用していれば、なにも心配いりません!
日に日に肥大するミカンの実に語りかけるように、愛情もってお世話してあげてくださいね。では、また次回の作業をお楽しみに!