2015年12月アーカイブ


農薬による土壌消毒を実施されているかたは大変多いと思いますが、最近増えてきているフロー剤を使用する場合の、土づくりの考え方についてお問い合わせがありましたので、ここで解説したいと思います。

 

クロピクフロー(クロルピクリンフロー剤)を使用する場合は、堆肥や肥料を混和、畝立て、マルチ被覆まで行い、フロー剤を流すという手順となります。

 

ここで問題となるのは、畝内や10ー20cm深の土壌生物を皆殺しにしてしまうことです。良い微生物も悪い微生物も、センチュウやミミズなどのほぼすべての生き物が死にます。

このことはつまり、動物性有機物が大量に元肥に施用されるのと同じ事が起こるということです。

 

土壌バイオマス(生物量)は、10aあたり微生物だけで70ー100kg、センチュウやミミズ、昆虫などの微小動物を含めると、150ー200kgにも及ぶと言われます。

これだけの量の生物死骸=有機肥料が、元肥として入れられるのと同じことですから、初期チッソが効きすぎることは、すぐにわかる話です。ちなみにチッソ量として、5kg/10a程度がこのバイオマスから発現すると言われています。

ですから、フロー剤を使用する場合は、常に徒長するリスクを頭に入れて土づくりを考えなければなりません

そこで、考え方ですが
1.初期チッソの発現期間を待って(1ー2カ月程度)、植付する。
2.元肥で施用するチッソ量を減らす、またはゼロにする。
3.初期窒素が発現しにくい土づくりを実施する。
の2パターンとなります。

1番は時間がもったいない。2番はそのままですが、収量減とコストアップ(液肥のコスト)につながります。

ですから、お勧めの方法は3番です。

初期窒素が発現しにくい土づくりを実施する。

収量および品質を考えるなら、施用チッソ量を減らしたくないですからね。

 

この考え方は、ある意味「チッソ飢餓」の現象を利用する方法です。

「チッソ飢餓」とは、炭素率の高い有機物を大量に施用すると、土壌中のチッソが微生物に吸収されてしまい、植物がチッソ飢餓状態になることです。

この現象を利用すると良いでしょう。やり方は簡単です。
もみ殻または裁断ワラを200kg/10a程度、堆肥や元肥と一緒にすき込むだけです。

もしひと手間ができるのであれば、あらかじめ堆肥と混和して1ー2週間ほど置いておくとさらに良いですね。


これで、土中に入ったワラやもみ殻が余分なチッソを植物に吸わせない方向に働きますので、徒長しにくくなり、イチゴやトマト、ナス、ピーマンなどがしっかり花芽を着けてくれるようになります。

ちなみに、その後ワラやもみ殻が分解されてしまうと、今度は吸収したチッソが徐々に植物に吸われ始めますので、ちょうど良い生育を実現することになります。

あと、もちろん、土壌病害菌を増やさないためにも、フロー処理後から菌力アップを施用することは忘れないでください。

特に、土壌消毒後には「硝化菌」という植物生育にとって、もっとも重要な微生物がほとんど死滅しています。そのため、アンモニアがあふれてしまい、アンモニアガス障害や亜硝酸ガス障害が発生しやすくなっています。また、微生物や硝酸が不足しているために、カルシウム欠乏やマグネシウム欠乏も大変発生しやすくなってしまいます。

そのため、優良な微生物(硝化菌を含む)を含む菌力アップを、土壌消毒後に必ず施用することが重要なポイントとなります


本当に、微生物の働きを理解することは、土づくりと栽培管理に重要ですね。ではまた。


(こちらの記事もぜひご参考にしてください)

フロー剤(クロルピクリン)による土壌消毒後の徒長防止

(初めてこのシリーズを読まれる方は、まずこちらから)

高品質多収穫のみかん作り12カ月:経営目標
http://staff.sunbiotic.com/12-1.html

高品質多収穫のみかん作り12か月:3ー4月の作業
http://staff.sunbiotic.com/12.html

高品質多収穫のみかん作り12か月:5ー6月の作業
http://staff.sunbiotic.com/12-2.html

高品質多収穫のみかん作り12か月:7ー9月の作業
http://staff.sunbiotic.com/12-3.html

 

 

みなさん、こんにちは!

色づくみかんいよいよ収穫シーズンも間近となってきましたね。みかんは、徐々に色づき、わくわくする方も多いと思います。

 

サンビオティックみかん園では、この時期にまだやっておきたいことがいくつかあります。糖度、品質を上げ、肥大を良くするための作業は、前回までの作業でほぼ終わっていますが、これから収穫までにあともう少し仕上げをします。

この仕上げで、みかんの売上が少しでも増えることを期待し、もうひと踏ん張りをがんばりましょう!

 

 

 

高品質・多収穫のみかん栽培:9ー12月の作業

ポイント1.木酢酸カルシウムの葉面散布

たわわに実るみかん果実のなる植物だけでなく、野菜など大変多くの作物で共通する植物生理があります。それは、生育の後半、つまり収穫前になるとカルシウムの必要量が非常に高まるということです。

カルシウムは、植物の生育では大変重要で、多くの野菜農家がカルシウム欠乏症で悩んでいます。トマトの尻腐れ病は有名ですが、白菜やレタスの芯腐れ病、イチゴやキャベツのチップバーンなど多くの作物で商品価値をゼロにしてしまう危険のあるものです。

 

実は、みかんもカルシウムを大変多く必要とする作物なのですが、野菜のように分りやすい欠乏症状が出ないために、カルシウムは足りているものと思っている方が多いのが現実です。

しかし、実際にはみかんの実が成熟する時期にカルシウムをしっかり与えることは、糖度、食味が大変よくなり、また浮き皮の防止、病害虫や果実腐敗を招かないために大変重要な作業なんですね。カルシウムは、チッソと並んで吸収量、必要量の多い栄養素ですから、決して侮ってはいけません

 

そこで、カルシウムをどのように与えるかという問題が発生します。

最もポピュラーなのは、カキ殼等の石灰を撒くこと。春先にpHを計測し、酸性土壌であれば3月に矯正しておくことは述べました。さらには、6月から7月ごろ再度施用すると、土壌がアルカリ化し、生殖生長を促進するので良いと思います。しかし、マルチ被覆をする方は、もう一歩、深く考えなければなりません。

土壌が乾燥することにより、カルシウムの吸収は極端に悪くなってしまうからです。もっとも吸収量が多く、必要な8月以降にカルシウムの吸収が阻害されることは、果実品質にとって重大問題です。

また、土壌の塩基バランスが悪いなどの影響で、根からカルシウムを吸収できないことも考えられます。さらには、カルシウムそのものの樹体内移動性が悪いこともあります。そのため、カルシウムの葉面散布が必要と言うことになります。

 

みかんに散布するカルシウム資材で有名なものは、「クレフノン」などの炭酸カルシウム資材や、「セルバイン」などの水溶性カルシウム(硫酸カルシウム、塩化カルシウム)があります。また、より高価で効果的な資材として、有機酸カルシウムやEDTAカルシウムと言われるカルシウム資材も市販されています。

ここで、サンビオティックでお勧めする方法は、安くて、しかも非常に効果のある資材を手作りする方法です。木酢酸カルシウムという、有機酸カルシウム(クエン酸カルシウム)を作る方法です。(作り方は、一番最後に記載)

 

この方法では、一回の散布資材のコストは数百円/10aですから、大変費用対効果が高い方法となります。

木酢酸カルシウムの葉面散布は、収穫の2カ月前から2週間前までの時期に3ー4回実施は、することをお勧めいたします。

 

また近年では、温暖化の影響で11月でも20℃近くの気温となることがあります。このような時に雨が多いと、中生・晩生の浮き皮は助長されます。ぜひ収穫前まで、続けて上記の葉面散布を実施してください。

 

もちろん、木酢酸カルシウムとコーソゴールドを混合して葉面散布すると、さらに効果は言うまでもありません。果実は締り、浮き皮軽減とともに、紅色がよく上がり、成熟度が増します。じょうのうが薄く、甘さとコクのあるみかんに仕上がってきます。

固定客の付く、最高のみかん作りを目指しましょう!

 

 

ポイント2.秋肥は遅れるべからず

鈴成りのみかんみかんの栽培について、意見の分かれるのは、夏肥、秋肥の考え方です。しかし、高品質多収穫という目標を持った場合に、絶対に考えなければならないことは、隔年結果をさせないということです。

そのために考えるべきことは、必要チッソ量をいかにして与えるかということです。チッソ=収量というのは、基本的な原則として間違っていません。必要チッソ量を与え、吸収させなければ、隔年結果となり、多収穫は難しくなります。


そこで、サンビオティックでは最も吸収力のある夏肥重点の考え方で管理することを提唱しています。夏の間にしっかりチッソを与え、必要量の大部分を吸収させることです。

ただし、その場合には、必ず「着果負担」がセットでなければなりません。着果負担がなければ、夏芽が勢いよく出てしまい、一気に生理は栄養生長型になってしまうからです。生殖生長型を維持しながら、チッソ吸収をさせるためには、着果ストレスを利用する方法が最もよい方法です。(フィガロンを使用する方法もあります。)

 

青島みかんそして、チッソ吸収を考える場合の、もうひとつのポイントは秋肥のタイミングです。

秋肥は、遅れるべからず。

これが、大切なことです。果実に糖が集積する大切な時期9月ー10月中旬は、チッソを切ることは、果実品質を維持するために大変重要なことです。

しかし、10月下旬を迎えたら、早めに秋肥を施用するべきです。このころには、すでに果実が出来上がっており、また根からのチッソ吸収が果実に分配される率が非常に少なくなります。そのため、秋肥をやったことによる果実品質の低下の心配が下がるからです。

みかんは、地温が10℃になるとほとんど肥料の吸収がストップしてしまいます。地温が高いうちに肥料を吸収させることが大切です。


秋肥=樹勢回復です。
樹勢回復=来年の花芽です。
秋肥には、隔年結果防止の重要な役割があるんですね。


秋肥の適切なタイミングと量は、次の通りです。

極早生 収穫後すぐ(9ー10月) 有機百倍4袋/10a
早生 収穫後すぐ(11月) 有機百倍3袋/10a
中生・晩生 10月下旬ー11月中旬 有機百倍2袋/10a

※なお、暖冬傾向の場合は、中生・晩生の追肥は気温変化を見ながらタイミングを調整します。日平均気温が17℃を下回ってから施用します。早すぎると、浮き皮を招くことがあります。

 

樹勢回復を図りつつ、果実品質に影響与えないためにも、即効性のアミノ酸態チッソを与えることが重要です。

 

 

<木酢酸カルシウムの作り方>

・純正木酢液 1L
・水 1L
・カキ殼石灰 100g

上記原料をバケツに入れ、良く攪拌し、反応がおさまるまで数時間おきにかき混ぜます。反応がおさまったら(約1日)、ぼろ布などで濾して、出来上がりです。

これを500倍希釈にして葉面散布します。

※カキ殼石灰以外に、卵殻石灰や通常の炭酸カルシウムでもOKです。また苦土不足の心配がある場合は、苦土入り石灰(セルカ2号など)を溶かしてもOKです。

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