微生物農薬と環境保全農業

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 中国餃子の例を出すまでもなく、食品の安全性はますます求められていますね。また、農業が環境破壊を進めている現実から、 環境に優しい環境保全型農業の普及が叫ばれています。しかしながら、その実現手段はこれというものがこれまであまりありませんでした。

 そこで今、防除の世界で注目されているのが、「微生物」です。典型的な農業資材として「微生物農薬」というものがあります。これは、 特定の微生物の性質を利用して、病害菌の繁殖を防いだり、特定の昆虫を防除したりする微生物を成分とした農薬で、農水省に登録し、 農薬としての扱いがされる資材です。
 たとえば、みなさんよくご存知の出光興産が代表的な微生物農薬メーカーですね。 その他のメーカーも、様々な商品を出しています。(参照> 微生物殺菌剤:http://www.biseibutsu.jp/sakkin/、  微生物殺虫剤:http://www.biseibutsu.jp/saccyuu/ )

 微生物殺菌農薬の主な性能のひとつは、枯草菌(→納豆菌が有名)の仲間で病害菌の繁殖を防ぐというものです。枯草菌の仲間は、 占有性と拮抗性があり、病害菌に限らず他の微生物の繁殖を抑える強い繁殖力があります。(枯草菌自体は、自然界でも至る所に存在し、 例えば落ち葉や草、食べ物には必ず付いている、ごくありふれた身近な菌です。)

 また、微生物殺虫農薬の代表は糸状菌(いわゆるカビ)です。生きた昆虫に付着すると、寄生して繁殖し、 宿主を殺してしまうほどの繁殖力の強いカビを分離したものが殺虫剤として登録されています。ただしこれは理論上のことであって、 本当のミクロワールドの話ですから、実際にはどのようなメカニズムで病害菌や虫の繁殖が抑えられるのかは、分かっていないことが多いのです。

 微生物農薬は、微生物の力で有害な菌や虫の繁殖を抑えるものですから、確かに環境保全型農業の切り札といえますね。ただし、 微生物農薬も万能ではありません。微生物資材としての使用目的の範囲は、大変限られています。それは、「科学的な安全性」を証明するために、 あくまで「単菌」であることと関係しています。自然界に存在する無数の微生物種の中のたった一つの「菌」を取り出した資材、 ということですから、当然特定の目的のためにしか効かない、ということです。

 微生物は、そもそも土の中や植物の表面で、実に様々な作用をもたらし、植物の生育を助けています。微生物農薬は、 そういったトータルの微生物の働きを高めるものでありませんし、「自然の生態系」や「バランス」、または「多様性」というものを追求した資材ではありません。特定の菌を増やしたところで、 その菌は万能ではないからです。シーソーゲームではありませんが、自然というのは常にバランスをとろうとしますから、偏った「菌」 が繁殖すると、また一方でそれをやっつけようと別の作用を持った「菌」が異常繁殖するものです。

 一方、強力な微生物資材のひとつである「菌力アップ」を例にとると、 これには実に多種多様な微生物が含まれています。もちろん、これも自然界の全ての菌を集めたわけでなく、 植物の生育にプラスになる代表となる微生物を多種多様に含んで、バランスをとっています。このことが、「菌力アップ」 の総合的なプラス作用に働く一つの重要なポイントです。特定の菌や虫を殺すのではなく、全体としてのバランスをとることと、植物の抵抗力・ 可能性を引き出すことを主眼とおいている商品です。たしかに、植物活性が高まることで、ダニが減ったりウドンコ病が減ったりしますし、 センチュウの被害も見えなくなることが良く見られますが、これは微生物農薬としての働きではなく、土壌の微生物バランスを改善し、 植物の活性が高まった結果なのです。

 どちらも、その目的や特徴を知って使うことが重要ですね。微生物技術は、これからの農業には不可欠です。どちらがいい、 ということではなく、このような二つの方向からのアプローチが使いこなせるようになれば、 確実に化学農薬に頼らない農業に近づけることと思います。

byいくた

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このページは、管理者が2008年2月18日 11:45に書いたブログ記事です。

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