じゃがいも(馬鈴薯)そうか病の総合防除を考える

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じゃがいものそうか病 北海道、鹿児島、長崎県の農家にとって、 悩みの種であるジャガイモのそうか病に関する科学的分析と栽培の注意を、個人的備忘記録と農家さんのための参考情報として、 記載しておきたいと思う。

 じゃがいものそうか病 総合防除について考える

 そうか病の発生を引き起こすといわれている病原菌(Streptomyces属放線菌)は、 ジペプチド植物毒素サクストミンAという物質を生産し、じゃがいもがその物質に対し抵抗するためにかさぶた(コルク)状の組織を発生させ、 それがそうか病と呼ばれる。最近は、このサクストミンAに対し耐性を持つじゃがいもの品種(ユキラシャ、スタークイーン、北育7号など) が開発されているが、そうか病の発生メカニズムも、品種以外での防除方法についても、まだまだ研究段階である。

 しかしすでに分かっていることがあるので、下記にまとめてみたい。

そうか病防除1:土壌phを5.0以下(酸性)にすること

 そうか病は、土壌phが5.0-5.2に下がると(酸性に傾くと)、顕著に発生が抑制される。4.8以下であれば、 ほとんど発生しない。これは、土壌phと交換性陽イオンの量(特にカルシウムや水溶性アルミニウム)に相関関係があるからと言われている。 そうか病を予防するには、難しいことを考えずに、土壌phを下げることを考えるべきである。焼酎かすや有機酸、木酢などの酸性資材の投入も、経済性を無視すれば有望だ。ただし、 酸性になりすぎると肥料吸収が阻害され、収量が下がるのでそのさじ加減が難しい。

 そのために、硫安(硫酸アンモニウム)など土壌酸性化の肥料を、種芋付近ではなく、畝溝に施用する方法などもよいとされる。リン酸化成肥料は、アルミニウムと結合するので、少ないほうが良いとされるが、リン酸がしっかりと吸収されればそうか病になりにくい、という報告もある。(サンビオティック資材「鈴成(すずなり)」のリン酸は、その点で有利である。)また、 堆肥の重要なポイントだ。未熟堆肥やバーク堆肥などC/ N比の高い堆肥の施用は、避けるべきである。じゃがいもには、C/N比20以下の堆肥を必ず選択し、 また少なくとも、植え付けの1ヶ月前までには混和する必要がある。(C/N比の高い堆肥は、窒素飢餓を引き起こし、 土壌中のアンモニア態窒素が不足し土壌phが下がらないため。また、バーク堆肥などキレート作用の強い堆肥は、アルミニウムを固定化し、 活性を下げるため)

そうか病防除2:種いもの選別・消毒

 当たり前だが、種いもがそうか病にかかっている場合、 そうか病の発生率は著しく高く、蔓延を引き起こすので注意したい。目視でそうか病の種いもを除外し、 マンゼブ剤などで粉衣消毒することが重要である。消毒後、そうか病菌に耐性及び拮抗作用を持つ菌を種いもに処理することで、 効果が上がることも多く報告されている。

そうか病防除3:輪作と植え付け

 北海道でのそうか病の病原菌は、主にStreptomyces scabiesと、 S.turgidiscabiesの2種類といわれている。病原菌は、種いもによる伝染と土壌伝染をする。そうか病は、 輪作によって減らすことができ、輪作年限が長いほど、またマメ類(ダイズ、ヘアリーベッチなど)の作付け頻度が高いほどよい。また、 エンバク野生種やアルファルファなども輪作体系に組み込むと良い。小麦やテンサイ、ソバなどは、輪作作物としては劣るようだが、 収穫後に十分な窒素源を補給し、残渣を分解させれば大きな問題はないと思われる。

 また、植え付け時期を遅らすことで、そうか病の発生が1/10になるという研究報告もあるので、 植え付け時期をすこし遅らせることが有効な場合も考えられます。

そうか病防除:微生物防除の可能性

 そうか病の病原菌に対し、拮抗性を持つといわれる微生物がいくつか研究されている。トリコデルマなどの糸状菌、枯草菌、酵母の仲間が多いようだ。近い将来は、特定の微生物での、 生物的防除も十分な実用性と経済性をもつことになる。おそらくその処理方法は、種いも処理が合理的だろう。

 しかし、そもそも土壌微生物相を豊かにすることを目指すことは当然のことである。 土壌消毒による偏った微生物相、また貧困な有機物施用による微生物の絶対的不足。 それがそうか病や単一の土壌病害菌の増殖を招いていることは、明白である。様々な微生物が活躍し、お互いに牽制しあっている環境では、 そうか病菌も増殖を抑えられる。これが本来的な生物的防除である。

by いくた

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このページは、管理者が2008年4月28日 17:46に書いたブログ記事です。

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